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血液検査で健康になろう!

[2023.03.10]
~数値の見方~

血液検査は定期的に受けていますか?
血液検査は、血液の中に含まれる酵素や抗体、細胞などの数を数値化して病気の診断に役立てたりリスクをみつける検査です。
糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の多くは自覚症状に乏しく、症状が出たときにはすでに進行してしまっていることもあります。
「定期的に血液検査を受けているけど内容はよくわかってない」、「なんとなく毎年健診は受けているけどそのままにしている」なんて人もいるかと思います。
自分のデータが大丈夫かどうか、こちらの記事を参考にぜひ見直してみてください。

血液検査の判定基準

 

健診や人間ドックの結果で「要経過観察」や「要医療」などという文字をみたことはありませんか?
まずはこの判定について、どういった意味を持つのかこちらで解説します。

正常・異常なし


これは文字通り今回の血液検査では特に問題となる異常はみつからなかったことを示しています。
今まで通り定期的に血液検査を受け異常がないことを確認していきましょう。

要注意・要経過観察


これは今後悪化の可能性がある項目です。
血液検査を行った時点ではすぐに精密検査や治療が必要な状態ではないですが、このまま放置しておくと少しずつ悪化する可能性がある数値ということです。
健康維持のために生活習慣を改善し、次回の検査で経過をみたほうがいいでしょう。

要医療


要医療はただちに医療機関を受診した方がいいというものです。
数値が明らかに異常を示しており、1日でも早く受診し医師の指示を仰ぐことが重要です。

検査項目と基準値について


健康診断や人間ドックで行われる血液検査の代表的な項目について説明していきます。

一般血液検査


白血球数や血色素量があります。

・白血球数(WBC)
白血球は体内へ侵入してきた細菌やウイルスなどを捕食したり抗体を作ったりして、身体を守る働きを担っています。
この数値が高い場合は白血病や感染症にかかっていたり、低いと骨髄異形成症候群・再生不良性貧血・薬剤の影響などが考えられます。

・血色素量(Hb)
ヘモグロビンと呼ばれる赤血球の中のヘムたんぱく質のことです。体内に取り込まれた酸素を全身に運搬する働きがあります。
この数値が高い場合は多血症や脱水症、低ければ鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血などが考えられます。基準値は男性と女性で異なります。

糖尿病

 

糖尿病の検査項目は空腹時血糖(FPG)とHbA1cがあります。
・空腹時血糖(FPG)
血中のブドウ糖の数値を測定しています。ブドウ糖は全身のエネルギー源であり、数値が高い場合は糖尿病や膵臓がん、ホルモン異常が疑われます。

・HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
これは過去1~2か月の平均的な血糖の状態を示すもので、血糖値のコントロール状態が分かります。
空腹時血糖が126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上で糖尿病と判断します。

脂質異常症


脂質は主に4種類で、HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪(TG)・Non-HDLコレステロールがあります。

・HDLコレステロール
いわゆる善玉コレステロールというものです。血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を回収する働きがあり、この数が少ないと動脈硬化のリスクが高まります。
数値が低いと脂質代謝異常や動脈硬化が疑われます。

・LDLコレステロール
これは悪玉コレステロールと呼ばれるものです。LDLコレステロールが高いと動脈硬化になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。

・中性脂肪(TG)
体内でもっとも多い脂肪です。 数値が高いと動脈硬化になりやすくなります。低いと低栄養や低βリポたんぱく血症などが疑われます。

・Non-HDLコレステロール
すべての動脈硬化を引き起こすコレステロールを表します。動脈硬化のリスクを総合的に管理することのできる指標です。
数値が高いと動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂血症などが疑われます。
低いと栄養吸収障害、肝硬変、低βリポたんぱく血症などが疑われます。

肝機能異常


肝機能の検査は総たんぱく、アルブミン、AST・ALT、γGTPがあります。

・総たんぱく
血液中の総たんぱくの数値を表します。
数値が高い場合は多発性骨髄腫や慢性炎症性疾患、脱水症などが疑われます。
低い場合は栄養障害やネフローゼ症候群、がんなどが疑われます。

・アルブミン
血中のたんぱくのうち、最も多いのがアルブミンです。
数値が低いと肝機能障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などの可能性があります。

・ASTとALT
どちらも肝臓に含まれる酵素です。ASTは肝臓以外に心臓や筋肉にも存在します。
数値が高いと脂肪肝や急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、肝臓がんなどが疑われます。

・γGTP
胆道から分泌され、肝臓の解毒作用に関わっています。
数値が高いとアルコール性肝障害、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害などが疑われます。

 

最後に


血液検査は一つ一つに意味があり、正確な健康状態を把握するためには自分でその数値をしっかり理解する必要があります。

ですが、そもそも血液検査を受けたいけれど「朝ご飯を抜いて絶食でしないといけないから大変」、「なかなか時間が取れなくて病院受診ができない」などという方も多いかと思います。

最近では微量採血といって、従来は5~10mLほどの血液で行っていた検査を、指先に針をあてて小豆大(0.06mL)の血液を採取することで医療検査と同等の精度で行える機器が開発されました。
自分自身で血液を採取して検査が行うことができ、微量採血のためのキットを自宅に郵送してくれるものもあるため、医療機関に行く手間や時間を節約するメリットがあります。

なかなか忙しくて時間が取れない方も、病院が苦手な方も、ご自身にあった方法で上手に健康管理を行えるといいですね。

 

著作:野口 哲央(ノグチ テツオ)先生

略歴:昭和大学卒業し現在昭和大学江東豊州病院で勤務中

資格:日本泌尿器科額認定専門医、日本医事認定産業医、da Vinici Certificate(ロボット支援手術施行資格)、厚生労働省指定オンライン診療研修・緊急避妊薬にかかるオンライン診療研修終了

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