少子化問題Ⅱ
[2023.03.09]
② 経済的な問題
少子化の原因として最も一般的に言われているのが、『 経済的な理由』で結婚が出来ない、『 子供を産んでも育てられない』→だから『子供を産まない』→『 少子化になっている』説です。
最も一般的に信じられている説ですが、検証していきましょう。
世界で最も豊かな国はどこでしょうか? 豊かさの定義は人によって違いますが、そんなことを 言っていたら話が進まないので、 経済学の指標である国民一人当たりのGDPを指標に使います。 2021年のIMFの発表によると、 世界一豊かな国はルクセンブルクで、
1位 ルクセンブルク 136,701 (単位は全てUSドル)
2位 アイルランド 100,129ドル
3位 スイス 92,249ドル
4位 ノルウェー 89,042ドル
5位 シンガポール 72,795ドル
です。
です。
一方、 これらの世界で最も豊かな国の出生率はどうなっているでしょう か?
調査国187ヵ国中、最下位が韓国の0.837で、
185位 シンガポール 1.100人
171位 ルクセンブルク 1.370人
162位 スイス 1.460人
158位 ノルウェー 1.480人
138位 アイルランド 1.630人
です。
です。
ちなみに日本は1.340人で174位です。
その国の人口を維持するために必要な合計特殊出生率は2. 07とされております。
ですので、世界で最も豊かな国のトップ5ですら、 今の人口を維持することができる国は一ヵ国もない、 という危機的な少子化に苦しんでいる状態です。
では逆に少子化に苦しんでいない国ランキングはどうでしょうか?
1位 ニジェール 6.735人
2位 ソマリア 5.885人
3位 コンゴ 5.718人
4位 マリ 5.693人
5位 チャド 5.553人
です。
です。
これらの国の国民一人当たりのGDPはどうでしょうか?
190位 ソマリア 502ドル
185位 ニジェール 595ドル
184位 コンゴ 603ドル
180位 チャド 697ドル
173位 マリ 918ドル
です。
です。
『少子化の原因は経済的理由』が最も多く信じられておりますが、 このデータを見る限りは、全く真逆の結果になっております。 貧しい国ほど子供が多く、豊かな国ほど子供が少ない、 というのがはっきりとデータで示されております。
反対派の人達は、『国情が違う国を比べても意味がない』 と批判する人もいますが、では、『日本国内』で見てみましょう。
日本で最も豊かな都道府県はどこでしょうか?
いうまでもなく東京都です。
いうまでもなく東京都です。
最も所得が少ない県はどこでしょうか?
答えは沖縄県です。
では、日本で最も出生率の低い都道府県はどこでしょうか?
答えは東京都です。
47位 東京都 1.13人
最も出生率が高い県はどこでしょうか?
答えは沖縄県です。
1位 沖縄県 1.86人
です。
です。
皮肉なことに、日本で最も所得水準が高い東京都が、 日本で最も出生率が低く、 日本で最も所得水準が低い沖縄県が日本で最も出生率が高い、 というのが現実のデータです。
世界的規模での比較でも、日本国内の比較でも、『経済的豊かさ』 と『出生率の高さ』はむしろ反比例の関係にあります。
日本では、『異次元の少子化対策』を金看板に、 新しい岸田内閣が誕生しましたが、今やっている最大の議論が『 児童手当の所得制限を撤廃するかしないか』です・・・・ 頭がクラクラするようなレベルの話です。
ちなみにですが、ここで豆知識を一つ。 想像を絶する天文学的資産を持つ大富豪の子供の数。
どうですか?
少子化の原因が『経済的理由』という説にまだ『 その通り!!』って思えますか?
少子化の原因が『経済的理由』という説にまだ『
本当に少子化の原因が『経済的理由』 なのかどうかをまずしっかりと検証する必要がある事が上記のデー タからも明らかです。もし仮に、本当に『経済的理由』 であるのならば、『 一体いくらあれば子供を3人4人と産んでもらえるのか』 ということをまず検証することが必要なはずです。
100兆円を超える資産を持っていても、 3人とか2人しか産んでいないのに、日本政府が『 一体いくらお金を出したら4人5人産んでくれると思いますか?』
この検証をやらずして、『 児童手当の所得制限を撤廃するかしないか』とか、『 大学教育まで全部無償化』とか、『 子供一人生まれたら100万円』とか、 それぞれの人が適当に勘で言っているとしか思えないような議論ば かりで、裏づけとなる『データ』が全く示されておりません。
『児童手当の所得制限を撤廃』したら、出生率は何% 改善すると予測しているのか?
『大学教育まで全部無償化』したら、出生率は何% 改善すると予測しているのか?
『子供一人生まれたら100万円』出したら、出生率は何% 改善すると予測しているのか?
それぞれ『根拠となるデータ』を出して議論をするべきです。
なぜなら、そのお金は全て『 現役の若い人たちから巻き上げた税金や社会保険料が原資』 だかです。
ばら撒けばばら撒くほど、 現役の若い人たちの税金や社会保険料が高くなり、 国の借金が増え、ますます若い人たちの可処分所得が減少し、 貧困化に拍車をかけるからです。
『下手な鉄砲も数打ちゃ当たる』みたいな昔ながらの発想や、 適当な『勘』だけでお金をばらまかれたら、 それこそ若い人たちはもっと子供を産まなくなる(産めなくなる) でしょう。
政治家の人たちはもっとことの重大さを認識して、